故れ各依さし贈へる命の随に知看す中に（
速須佐之男命、命さしたまへる国を知さずて（
八拳須心前に至るまで啼きいさちき（
其の泣きたまふ状は（そのなきたまふさまは）
青山を枯山如す泣き枯らし（あをやまをからやまなすなきからし）
河海は悉に泣き乾しき（うみかははことごとになきほしき）
是を以て悪神の音（ここをもてあらぶるかみのおとなひ）
狭蠅如す皆涌き（さばへなすみなわき）
万の物の妖、悉に発りき（よろづのもののわざわひ、
＜現代語訳＞
このようにして
おのおのそのご命令通り
統治をしてましたが
速須佐之男命だけは
その任された国の統治はせずに
長いひげが
胸先まで伸び下がるほどのお年になっても
足摺りして泣いてました
その泣く様は
まるで
青々とした山も枯山に変わってしまうほど
喉を涸らして泣き
川や海の水がことごとく干してしまうほど
焼けつくように泣きわめかれました
このために
悪神たちの暴れ騒ぐ音が
五月蠅の騒ぎ立てるように
わき上がって
ありとあらゆる災いが
ことごとく起こりました
・・・・・・・
ここでスサノオは
建速須佐之男命ではなく
速須佐之男命となり
「建（たけ）」の字が除かれています
この時
もうスサノオには「田気（たけ）」は
残って無かったのでしょう
「八拳須心前に至るまで啼きいさちき」
とありますが
この八拳は八父韻の事だそうです
イザナギが使っていた
十拳剣は人間の純粋な精神からの判断力でした
これも父韻を示していますが
その内訳は
イ・チキミヒリニイシ・ヰ
でした
対してここでの
八拳とは
イとヰを欠いた
チイキミシリヒニのみになります
それが心の前まで迫ってきて
泣き騒いでるという事は
せっかく
なんやかんやで色々と
ケンカやら禊やらを経て
「タカマハラナヤサ」が一番素晴らしい
父韻の並びだと
結論に至ったのに
スサノオだけは
この並びにしっくりこなくて
この父韻の並びをぶっ壊したいと
騒ぎ出した…
って訳なのですが
そりゃそうですよね
スサノオは
「ウ」の現識の領域を司ってるわけですから・・
現識っていうのは
この手に触れるものは何だろう？
とか
なぜこの手に触れるものは温かいのだろう？
とかを探求するための
領域なのですから
調和のとれた精神世界では
それが出来ないのです
なので手始めに
この言霊の並びを
滅茶苦茶に壊すことを
始めたという事でしょう
「青山を枯山如す泣き枯らし」
というのは
天津太祝詞音図の母音の配置
アイエオウを
アイウエオに変え
父韻の並びを
タカマハラナヤサから
カサタナハマヤラに
焼けつくように泣きわめいて
精神宇宙を
このように変えてしまったという意味・・
らしいです
「是を以て悪神の音」とは
荒ぶる神というのは
天津金木音図のことです
アカサタナハマヤラ
・・・で
ア・ラぶる神という事らしいです
「狭蠅如す皆涌き」とは
ちょうど五月ごろになると
蠅が大量に発生して
あちこちで群れて飛んでいます
それを古語では「五月蠅い（うるさい）」
というのでそれに例えているのでしょう
また黄泉の国で出てきた「蛆虫」は
蠅の幼虫です
なので「ウ」の次元から湧き出た
欲望が次から次へと止まらなくなって
あらゆる不調和が生まれたと・・・
「万の物の妖、悉に発りき」で
古事記は言っています
これは
あくまでも我々の心の宇宙でのお話です
でも
今の世界情勢をみても
似たようなこと起こってるな～って
思いますよね
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